(ミラがゲラルトの家へ押し入ってからしばらく経った頃。)
マベ「………お前大丈夫か?あんまり飲むとぶつけたとこに響くぞ。…………。(そう言いながら何杯目かわからない、ワインの入ったグラスを飲み干した。先程から少しタイミングを気にしているような素振りを見せていたが、とうとう口を開いた。)………なあ。ミラ。お前、何かやりたいことはあるか?」
ミラ「大丈夫だよ、ちょっと酔い冷めたし……。(きょとんとした顔で見た。)………え?やりたいこと? 今?」
マベ「ま、たんこぶ出来たらまたバンソーコー貼ってやんよ。(ひひ。と少し意地悪そうに笑った。)今……、でもいいし、明日でも明後日でも。俺もゲラルトも、こんな長期でまとまった休みを取ったことがなくてな。……この先希望しても取れるかどうかもわかんねえし、なんかおもしれーことあったらやろうぜ。(後半は料理をつまみながら。照れ隠しらしい。)」
ミラ「(ぱっと明るい表情になった。普段の、歳の割に大人びすぎている女性の顔ではない。)…パフェ食べたい♡とかじゃダメ? あ、食べ歩きとか?あと魔術使えないなら、無意味に交通機関とか別の移動手段使ってみたいなー。それから、王都を離れてずーっとずーっと遠い、誰も私のこと知らないようなとこ……なーんにも無いとこでのんびりしたいかなぁ。あのほら、天体観測!焼きマシュマロ!ホットワイン♡みたいなやつ!(たまにする捲し立てるように喋るアレ。)」
ゲラルト「(別の部屋に行っていたらしく戻ってきたところ。)1つ目だけあってたな。”姫”の要望は全部叶えてやれよ?」
マベ「(部屋に戻ってきたゲラルトににやりと笑みを向ける。)さすがに付き合いが俺よりちィと長いだけあるな。おう、いーぜ。食べ歩きでもなんでもやってやるよ。(といいつつ、顎を触りながら上を向いて考えて始める。)……キャンプか?……まァ、……。…………んン…………(なんとなく、微妙な顔をした。)………なんにも無ェっつーんなら……、………俺の実家が………山間のクソ田舎だが空気が綺麗だから星なんていくらでも見れるし、ワインは地酒がそうだし…、……やかましいのが一人いるけど……。(やっぱり微妙な顔をしている。)」
ミラ「グランピングっていうんだっけ? え、隊長は何自分無関係ですみたいな顔してんの。アンタもだよ。 (と言って急に真正面から見て)えっ実家!?マベさんの実家!?それ逆に私行っていいやつ!? 何着ていけばいい!?行こう!!(?)」
マベ「あー、そういや最近そういう施設が少し離れたとこにできたってお袋からの手紙に書いてあったような……。………、ッ、え、お…、おう、………悪かねえけどさ………。(真正面から見られてちょっと背けた顔が少し赤くなった。)何でも好きなもの着てけよ…ああ、寒いから長袖で足は出さないほうがいいぜ。…………あー、ほら。ミラがそう言ってんだからゲラルトも来いよ。」
ゲラルト「……は?(めちゃくちゃ断りたそうな顔をしているが、要望を全部叶えろと言った手前、できない。)…………。い、くが、一つ条件がある。」
ミラ「んや、全然分からずにイメージだけで言ってるから適当でいいの。 そっかそっかあ♡ ご両親に挨拶しなきゃねえ♡ (ちら、とゲラルトの方を向いて)何?……あ、わかった。その”物騒な恋人”を連れていくてか言うんでしょ? 絶対だめ。」
マベ「お前学習しねえなァ。俺が”隠し事は無しだ”って誰かさんに言ってどんな目に遭ったか覚えてねえのか?(←真顔)……条件ねえ。聞くだけ聞いてやるよ。(顔を赤くしたのを誤魔化すように自分のグラスに残りのワインを注いだ。)…………親父は家にいるかわからねえが、お袋が出迎えてくれるよ。クソ田舎だからな…………村の奴らが挨拶に来んじゃねえかな……。そこが引っかかンだよなァ……あいつらいつでも暇してっから……。」
ゲラルト「まさか私も巻き込まれることになるとは思ってないだろ……。(しばらく黙った。ミラが自分の条件を当ててしまったらしい。)……魔術使用が禁じられている以上、何かあった時に頼れるのはこいつだけだろ……? 駄目か……?」
ミラ「刀下げて旅行する馬鹿がどこにいんの?置いて行って。 いいよ、お母様に”顔見せ”して好印象残してくるから! ……。田舎の村だと目立ちそうだね。(2人を交互に見て)」
マベ「………あー、………。(刀を見た。少し難しい顔をして考えている。)まあ、せっかくの休暇に武器持って行くのも物騒だよな。だが俺達は軍人だからな。不測の事態に合わせるために身体ができちまってンだ。俺も得物は携帯するぜ、キャンプにゃもってこいだからな。…っていうのと……、(言葉を選んでいる。)……うちの村の周り、でけえ獣が出るかもしれねえからなァ。(割とガチの真顔で言った。)…………まー目立つのは、しゃあなしだ。小せえ村だからな。とびきりの美人と男前が揃うから、仕方ねえ!(にっと笑った。)」
ゲラルト「……だよな? 人外もそうだが、私たちは人間に恨まれてもいる。謹慎期間中だと知られて追われる可能性もある。その場合にミラを危険な目にあわせるわけには(マベに同調して珍しくダラダラと長く喋っているが)」
ミラ「うっさ。(ゲラルトの言葉をたった一言で切り捨てた。)刀じゃなければいいよ。目立つのがヤダって言ってんの。それ持ったまま公共交通機関乗るつもり?その度に身分明かすつもり?(すごくつまらなさそうな顔で…) おっけー!!じゃあ行くの決まりね♡ もう少しで流星群の時期なんだって。王都だと明るすぎて見れないでしょ?」
マベ「………。(ちらとチェストの上の刀の鍔を見て、困ったように笑いかけた。すぐに向き直り、)……ゲラルト。色々と気持ちはわかるが、ここはミラの希望を第一優先にしてやらねえか。………難しいか?………、(やり方はなくもないが、と小さく唇だけ動かした。)ほー、流星群。……長いこと見てねえな。(懐かしそうに。)………いいぜ。一番見えやすい秘密の場所に招待してやるぜ。」
ゲラルト「………………わかった。……いや、わかっている。他の武器の携帯は許されるなら、……仰せのままに。これは姫を甘やかす会だからな……。(ちょっともう投げやり)」
ミラ「さっきから何?キモ……、私、アラサーサークルの姫じゃないんだけどww ほんと?嬉しいなー。私王都生まれ王都育ちだからそういうのした事ないんだよね。迎えてくれる家族がいるのも、羨ましいなぁ~ ふぁあ……(言葉の続きで欠伸が出た。)」
マベ「アラサーサークル…!?………。(ちょっとショックを受けたらしいが、追及はしない)………はは、そうそう。”仰せのままに”だ。国王陛下にしか言わねえようなこと言わせるなんて、大したタマだなミラは。(だいぶリラックスして椅子の背に二の腕を乗せるようにしてくつろいだ。)長く暮らすには退屈だが、たまに行く分にはマァ楽しいぜ。……ちィとやかましいけどよな。(ふっと微笑んだ。)なんだ、眠いか?」
ゲラルト「(短く息をついて)私たちは国王陛下の命で戦う忠僕だが、一度だけその命に依らず戦った。この休暇がその延長線上にあるとすれば………期間中、何度か言うことになりそうだな。 ミラ、空き部屋で寝てこい。」
ミラ「ん~?意味わかんないよ。 ……眠いけど、…もうしばらく2人で喋ってるんでしょ。マベさんが帰るまで起きとく……ふぁ…………、うーん、やっぱ無理かも。その辺で寝てるから帰る時起こして…。(のそのそとソファへ移動しようと。)」
マベ「そう堅苦しい表現するなよ。まァつまり、俺達は期間限定で貴女をお守りする騎士様になりますってえこった。…なァんてな?(わからなくていいとでもいうように、楽しそうに。)………あーお前、そこだとまた落っこちて尻餅つくんじゃねえか?………ま、寝とけ。起きなかったらおぶって帰ってやっからよ。」
ゲラルト「表現は何でもいいが……。ここ暫く私たちの仕事に付き合わせたからな。……ん。わかった。(そっと立ち上がって、一旦部屋を出ていく。)」
ミラ「そんなに落っこちないんだけど。(ソファに座って、そのままこてんと横になって)こんな飲んでよく元気に起きてられるね…。多分、同じ体の作りじゃないんだわ……。おやすみ……。」
マベ「(へへっと小さく笑って)昔ッから酒には強いんだよ。……まァ、ワインは別だな。旨いが……、飲み過ぎると癖になりそうだ。(ミラの顔を見てふっと笑った。)………おう。おやすみ。これからしばらく、起きたら楽しいことが待ってるぜ。」
ミラ「……ん、(短く返事をして、もぞもぞと体勢を変えた。その後暫くしてすぐに静かになった。)」
ゲラルト「(別の部屋から掛物をもって戻ってきた。)何だ、もう寝たのか? こいつが寝ると静かに、………(ソファの所まで行き一度黙って、持っていた薄い毛布をミラに掛け、小さく溜息をつく。)……よくこんな程度の警戒心で生きてこられたなと思う時がある。」
マベ「……ああ。(短い返事の後立ち上がった。)………最初から警戒してなかったわけじゃないと思うぜ。出会って最初の頃は、随分肩肘張ったヤツだなと思ったもんだ。……………。(足音一つ立てずにゲラルトの隣までやって来ると、少し俯くようにしてミラの顔を見つめた。)」
ゲラルト「(暫くそうして黙ったまま、すやすや眠るミラを見ていた。そのまま軽く目を閉じると、部屋に穏やかな寝息だけが聞こえる。)……。(ふと顔を上げて、何を言うわけでもなく傍に居るマベの方を向いた。)」
マベ「(濃淡のわかりづらい、色の悪い瞳を細め、じっと動かないでいる。人の何倍もの聴覚を持つマベにその寝息が聞こえないはずはなく、静かにミラを見守っている。)……………、(ふと視線に気付き、ゲラルトのほうを見つめた。)…………………。(その瞳に強い感情を滲ませたが、同じように何も言わず、ほんの少しだけ嬉しそうに笑った。)」
ゲラルト「(つられるように一瞬だけ柔らかく笑って小さく頷くと、すぐにいつもの表情に戻り、元いたテーブルの方へ戻って行った。)」