(イシスアセト、ウライオス本部。建物の裏側にある広場。休憩中なのか隊員はおらず、建物の中から話し声が聞こえている。)
ゲラルト「(その付近を通りかかって、ふと足を止める。誰も居ない広場の方を見た後、建物の窓から見える隊員たちのほうに視線をやった。風に吹かれてコートの裾が靡き、何となく振り返る。)」
マベ「(振り返った先に立っていた。靡くコートにも髪にも気を取られることなく真っ直ぐゲラルトを見つめており、明らかに用がある様子。)……………よう。」
ゲラルト「(出撃時や訓練中とは少し違う、ほんの少し穏やかな空気。)何だ?お前が話しかけてくるなんて珍しいな。」
マベ「そんな時もあっていいだろ。(隣まで来て少し見下ろすようにゲラルトを見つめ、広場に視線を向ける。ついて来いと。)………。(自分が先立って歩きながら、腕組みして首を傾げる。何か迷うような仕草。)」
ゲラルト「悪いとは言っていない。(隣に来た瞬間、一瞬だけ目線を合わせた。ゆっくりとついて行く。)……どうした。何か聞きたいことでもあるのか?」
マベ「んン…………。(生返事をしながら足を止めた。ちょうど前に話をしたときに近い場所だろうか。背を向けたまま動かない。)………聞きたいことも言いたいこともある。が、どれも俺にとっちゃ重要だし、何から話しゃァいいのかもわかんねえ。……こういう時な。俺は必ず選ぶのに失敗する。」
ゲラルト「その自覚ができるようになっただけ、まだマシだ。……。お前が感情的にならない話から振ったらどうだ。最初を間違うと、その用事のうち残り全てが台無しになる。(短く息をつき、建物内を行き交う隊員たちをまた見た。そこで行われているであろう会話はほとんど聞こえないが、何人かが広場の方をチラリと見たようだ。)」
マベ「それは褒め言葉か?……まあいい。そうだな。聞きたいことに関しちゃ、いつも冷静なお前なら、台無しにゃならねえだろう。………。(大きく息を吸って吐き、振り向いた。)………お前のあの力について教えてくれないか。ありゃ何だ。………イヤなら、言わなくてもいいけどよ。(顔を背けた。)」
ゲラルト「その歳なら当然できるべきだが……。(少し意外そうな顔をして)何だ?そんなことか。(周りを見渡して、誰も居ないことを確認して。)私は生まれつき魔力を集めすぎる体質を持っていた。その時は今よりは制御ができていたが……そうだな……、色々あってな。例の組織に連れて行かれて身体に陣を刻まれたことで制御が効かなくなった、と言ったところだ。……という説明では納得しないか?」
マベ「(背けたままの顔を大きく顰め、自分を抑えるように小さく溜め息を吐いた。)………そういうことか……。(向き直り、少し俯き加減になり。)納得しねえも何も、事実は事実として受け止めるしかねえだろ。はらわたはクソ煮えくり返ってるがな……。…お前も連中の犠牲者の一人だったってわけか。因果なもんだな。そんなお前があいつらをぶっ潰す唯一の力になるとはよ。」
ゲラルト「犠牲者、か。それまでも人間らしい生き方をしていたわけではないが、あの中にいる間は魔力を送り出すための実験動物か装置のような扱いだった。私には私という自我は与えられず、長い時を過ごした。(昔を懐かしむように、少しだけ目を伏せて。)その中から私を救い出したのが、……一刀さんだ。 」
マベ「……………。(ずっと苦々しい顔をしている。普通の人のする表情ではなく動物がするような、一見無表情だがその雰囲気で感情がよみとれる、そんな顔。しかしその名が出ると、ふと空気が僅かに和らいだ。)………一刀さんが、お前を?」
ゲラルト「そうだ。あの中でまだ生きている私を見つけて連れて帰ったらしい。……まだ幼い頃だったからな。『女の子だと思ってたのになぁ…………』とか何とか言ってたぞ。何度か殴ってやったが。(ほとんど無表情のまま。最後だけほんの少し口の端があがったような。)」
マベ「…………。…………!!!(最後まで聞いて、ぶっと吹き出したのを慌てて口を押さえて堪え…切れなかった。)……お前さ、……やめろよなせっかく真面目な話してんのにッ……!!(お腹のあたりを押さえて俯いた。長身が小刻みに震えている。)」
ゲラルト「どうだ?似てただろ? (左手の手袋を指先にひっかけて手首をほんの少し見せて)お前も見たことがあるだろうが……、これがあることで、出血すると私の意思に関わらず溜め込んだ魔力の解放が起きるというわけだ。 ……気になることがあればまた聞け。お前に隠す必要は無くなったからな。」
マベ「似てただろ?じゃねえェッ……それ以前の問題だっつの…!(ぷるぷる…)おま、それ他の奴にはやんなよ…!?たぶんみんな固まる……っひゃ…!(笑うの堪えすぎて変な声出た…)………!………、(落ち着いてきて、ハァ……と長い息を吐いた。照れ隠しに咳払いして。)……その陣さえ消せれば、また話は変わってくるわけか。………連中の存在は許せねえが、あいつらがいなきゃお前は一刀さんには出会えなかったんだな。……。……っあー……(後頭部を掻いた。)……あいつら相手なら俺はいつでも出る。隠さずに言えよ。隠したら殴るぞ、マジで。」
ゲラルト「……そんなに笑うことか?(不思議そうに、その反応をぼんやりと見つめて。)消せるかと思ってめちゃくちゃにしてみたこともあるが消えなかったからな……、一刀さんに随分叱られたが。(少し目を細めた。なんとも言えない表情。)……そして一刀さんを失うこともなかった、ということになるんだろうな。……互いに、だな。この件について隠し事は無しだ。」
マベ「破壊力の問題だ。あーびっくりしたわァ…。……お前、自分が傷つくことに対して無頓着過ぎンだよ。まあ、そうならざるを得なかったのは今の話でわかったけどよ…。(目を細めたゲラルトをちらと見て。)………月並みな言葉だが。一刀さん、何も後悔してなかったと思うぜ。お前を助け出して連れて帰ると決めたときにゃ、全部覚悟してたんだろうよ。」
ゲラルト「……?(少し首を傾げた。)そうか?この隊にいれば多かれ少なかれそうなるものだろう。 ……。……そうだろうな。でなければ、”あの決断”はできるものではない。 ……。ああ、そうだ、隠し事は無しだったな。例の場所は更地にしてきた。」
マベ「……それは否定しねェが、他の隊員で自分の手首メッチャメチャにしたことある奴いねえだろ?お前のは…、……まあいい。とにかく一刀さんが怒りそうなことはすんな。………失うってのは、辛れえものだがな……。(そう言って俯きかけたが、バッと顔を上げた。)ハアァ!?おま、勝手に何してくれてんの!?俺のぶんはどうしたよ!!??」
ゲラルト「手首だけじゃない。首元もだ。(冗談なのだろうが、表情が薄いため冗談になっていない。)………いや?声は掛けたが、お前がその日はどうしても他の用事があるとかで来なかっただけだ。煩い奴が居なくて随分作業が捗ったが。」
マベ「冗談がわかりにくいんだよお前はよォ!?………。………ああ、……あー……(非常に気まずそうな顔になった。隠し事は無しと言った先程の自分が自分の首を絞めている。)……アノ……あのな……?お前一人であそこを更地になさった件については、俺はもう何も言わねえからよ。…いや本当は言いたいぜ?小っせェ街だったが、俺もまだまだヤり足りなかったし、今でも本当ムカつくからなあの街の野郎どもは……ミラの身体に傷つけやがって……だからこそっつーか……な…?(要領の得ないことをダラダラと……)」
ゲラルト「……。(何かを察し、急にその鋭い目線を真っ直ぐマベに向けた。)……。……で?何が言いたい。」
マベ「う、…ッ……!!(鋭い目線に思わず声が漏れた。珍しいどころではなく初めて見るほどの狼狽具合。思わず顔を背け、黒眼鏡を手でぐっと上げた。)……………。(眉間をぎゅっと摘んで目を閉じ、長い長い溜め息を吐いた。ふっと真顔に戻ってゲラルトの方を真っ直ぐ見た。)………俺、ミラのことが、好きになった。」
ゲラルト「……そうか。(スッと視線を元に戻した。)……………………。(またマベの方を向いて)…………は? ………………それは、………どういう意味だ?(ただただ、真顔。)」
マベ「……いや、……だからァ。(気恥ずかしさに背けた顔が赤い。)…お前の言葉で言やァ、一般的な意味のほうであいつが好きになったんだよ。(ちら、と目線だけ戻して顔色をうかがった。)」
ゲラルト「…………ところで、私はあの日声を掛けたのにお前が断った話をしたよな?それとその話に何の関係がある。 …………お前。あの日、何してた?(真顔のまま、少しも支線をそらさずにじっと見ている。)」
マベ「お前そこは察しろよ!!(もう耳まで赤い…。)………ああ、くそ。(目を閉じ、前髪をぐしゃぐしゃとかきまぜるように。また息を吐き自分を落ち着かせた。)………お前のほうを断ったあの日、俺はミラと一緒にいた。(俯き加減になり、少し表情が暗くなり。)……あいつ。俺と別れた後に、ここを去ろうとしてたぜ。お前にも告げずにな。」
ゲラルト「何を察しろと言うんだ…、今一番困惑しているのは私なんだぞ……。(断片的な情報が、困惑もあって上手く繋がらない様子。首を傾げた。)……で?お前がミラに惚れていて、あの日は一緒にいて、別れた後に……? お前、何か機嫌を損なうようなことをしたのか? ……。…ミラを傷付けたり、苦しめたりしていないだろうな?」
マベ「……悪い……言おう言おうと思ってあれこれ考えてたんだがな…。(顔を上げた。)順を追って説明すっから、俺のことは一旦忘れろ。……あの街のことがあったろ?それでミラは、俺達にこれ以上迷惑はかけられねえと思って、一人でいなくなろうとしてたんだよ。病院に見舞いに行ったとき、なんかヘンな空気だなとは思ったんだが…。…それであの日、俺とミラは二人で出かけて、フツーに過ごして別れたんだ。……あいつはそのままここを去るつもりでよ。(そこで一旦区切った。)……うまく、説明できてるか?」
ゲラルト「あいつの考えそうなことだな。いつも肝心なところは黙ったまま、1人でどうにかしようとする。普段は遠慮というものを知らんくせにな。(短くため息をついて。) ……いや、引っかかるところが無いでは無いが、(少し目を細め、不満か何か、マイナスの感情がほんの少しだけ顔に現れた。)まあ、いい……続けろ……、」
マベ「…本当に…本当に普通に過ごした…。でも俺、薄々わかってたんだよ。あいつが一人でいなくなるつもりなのをよ。……で、ミラと別れてしばらく経って、やっとそこで自分の気持ちに気が付いたんだ。……それで必死に追いかけて、やっと見つけて、引き止めて……気持ちを伝えた。……そういうことだ。」
ゲラルト「……………いや、『そういうことだ。』と締められてもな…?私があの街を更地に変えている間に、ミラに想いを伝えてましたーと報告されても……な……。(珍しく、はー…と長い長い溜息をつき。)まあいい。……で?」
マベ「……ごめん……(…。)それならそうと言ってくれりゃァ……俺もあの街の野郎共には心底腹が立ってたからよ……。………え?ああ、えーっと…(頬を掻いた。)……あいつも、…俺のこと…好きだ、って……俺のほうがずっと気付いてなかった…っぽい……、……ッ!(ぶんぶんと頭を振ってしっかりと向き直り。)……そういうことになったが、お前とミラの関係も、俺とお前との関係も今までと何ら変わりはねえ。俺は、あのイかれた連中からあいつを守るし、どこに行っても追いつくって決めた。……だから、隠し事は無しだ。…そう言いたかった。」
ゲラルト「……ミラが!?(思わず大きな声を出したところで、建物内にいた隊員たちがこちらを見た。気まずそうに咳払いをして。)正直、お前がミラを特別扱いしているのは勘づいてはいたが……、そうか、あいつが……。ああ、だから、そうか……そういうことか………。(色々なことを思い出したようで俯いた。)……お前な。簡単に言うが、あいつは一刀さんや私でも手を焼くほどだ。……。お前に、その強さと覚悟があるのか?」
マベ「(大きな声に目を細めた。)…悪いなゲラルト。お前のかけがえのない相手をよ。(穏やかな声でそう言った。口先ではなく、心からの言葉だとわかる。しかしすぐに、その表情が引き締まった。)……言っとくが、俺もミラも、生半可な気持ちで一緒になろうって思ったわけじゃねえ。俺が何よりも誰よりも優先するのは、………俺自身だからな。(握った拳の親指を立てて、自分の胸に当てた。片目を細め、わずかに口の端を上げて。)お前と一刀さんが手ェ焼いたじゃじゃ馬乗りこなせンなら光栄だぜ。……『次を任されるかもしれねえ者』に相応しいだろ?」
ゲラルト「……口先だけではなんとでも言える。お前の覚悟を、お前が本当に次を任せるのに相応しい者かどうかを、今ここで試してやろう。(すらり、と何の淀みもなく右脇に差したその黒い刀を抜いた。)」
(建物内にいた隊員たちが一斉に広場の方へ向いてどよめいた。口々に「隊長が真剣を抜いた…」「ツートップがやんのか…?」と喋っているのが聞こえてくる。)
マベ「(俯き、クックッと声を出して心底愉快そうに肩を揺らした。)ホント、素直じゃねえよなァお前も…、俺も…。(俯いたままコートの下から一対の大振りのナイフを抜き、両手で握り締めた。)………”あの時”以来だな。ゲラルト。(顔を上げ、少し体勢を屈める。握り締めたナイフの刃を翻すようにして、構えた。)」
ゲラルト「素直であれば、あの時あんなくだらん喧嘩はしていない。(口の端がわずかに上がった。が、そんなことは気にかけていられないほどの速さと重さで、力任せに斜め上から刀を振り下ろした。)」
マベ「(構えた両手を翻し2つの刃で受け止めた。金属のかち合い擦れる激しい音。その重さに目を細めた、もうその時には体勢が変わっており、跳ね飛ばすことを目的に腹部を蹴り上げようとする。)」
(あまりにも激しい刃同士のかち合う音に、周りからワッと一斉に声が上がった。建物の窓という窓が開けられ、そこから隊員や関係者が身を乗り出すようにして2人を見ている。)
ゲラルト「(刃が止められた直後、その動きを察して右手で空になった鞘を引き寄せ、蹴りを鞘で受ける。その勢いを利用して後方へ移動し、手を伸ばしてもギリギリ届かないくらいの距離感を保った。)……少々、外野が煩いな。まあいい、抑止力にはなるだろう。(刀を構え直した。先手は取ったから、次はやらせてやると、その目が言っている。)」
マベ「(片目を細めぎりと歯噛みし、外野に向けて。)うっせェぞテメェら!!!騒いでねえで、俺と隊長の動き見とけ!!!(大声で怒鳴り、向き直った。)……悪いな隊長。今日の狂犬は抑えが利かねェみてえでよォ?嬉しくて嬉しくて、どうにかなっちまいそォなんだわ。(その目にニヤリと笑い、体勢を低くした。突進の動きを見せたが急に姿が消え、ゲラルトの後方頭上に現れたかと思うと、大きく身体をひねり体重を乗せた双刃の二連撃を叩き込もうと。)」
ゲラルト「(その動きを目で追うことすらせずに体をひねるようにして振り返り、刀の刃先を斜め下に向けるようにしてその重たい攻撃を受け止める。振り返りざまに自身の斜め後ろに動かした片足がぐっと地面を踏みしめて少しだけ後方にズレたのが、その攻撃の重さを物語っている。)…余計なことは喋るな。(その勢いを止めた後、金属同士が擦れ合う嫌な音を立ててその双刃を受け流すように刀を横に振り抜き、間髪入れず返す刃で横になぎ切る。)」
マベ「(ゲラルトの言葉とその足の動きに笑みが漏れた。普段気にしがちな耳をつんざく音も意に介さず、返し刀を上体を反らして躱し、軽々と後方へ跳ぶ。片足が着地した瞬間自らの起こした追い風に乗って低い体勢で加速、今度は一直線にゲラルト目掛けて突進し、刺突からのナイフの連撃を繰り出す。)」
ゲラルト「(今度ははっきりと前を見据えて、その鋭すぎる眼光でその距離感とタイミングを測った。)…5年、か。あっという間だという気がしていたんだが。(初手の突きは身を半分ズラす程度の動きで避け切り、続く連撃をひとつひとつ、全て見切っているような動きで自身の刀で止めていく。最後の一撃のみ思い切り強く押し返しバランスを崩させようと。)」
マベ「(躱され、攻撃を受け止められても次の一撃を叩き込みながら、)…そうだな。思い返してみりゃあっという間だった…。何度もあの時のこと思い出しては、文字通りヘド吐いて歯ァ食いしばって鍛錬してよォ!地獄だったぜ、……ッ!(最後の一撃に対しての強い押し返しにぐらりと身体の軸がズレた。ナイフを握ったまま地面に背中から衝突しそうになる…が、何もしない。まるで次の一手を誘うかのように。)」
ゲラルト「…そう言う割には随分、いい顔をするんだな。(ふと、何とも言えない表情をした。それは昔を懐かしむようでもあり、少しだけ笑ったようにも見える。この状況にそぐわない穏やかな目は、あっという間に過ぎた5年の日々を遡った先にいるあの人を思い出させる。)…、(ほんの短い一瞬だけ息を吸い込んで身を低くし、あまりにも速い身のこなしで足元を払うように刀を振るった。)」
マベ「(いい顔をしていると言われ、ちょっと驚いた様子を見せた。バランスを崩したまま小さく笑って。)……”お前もな”。見えなくてもわかンぜ、その声色で。(刹那、微笑んだその顔が、いつもの狂犬を自称するときの凶悪なそれへと変わり、)ーーーずっとずっとずぅぅぅぅぅっと追いかけてよォォ!!これはもう”恋”だよなァ!?なあ、ゲラルトぉぉぉオオオオオ!!!???(刃が届く寸前、二人の身体が宙に投げ出されるほど激しい風が足元から発生する。地表スレスレから巻き起こった激しい上昇気流が訓練場全体を包み、ギリギリで刃を躱したマベが高く跳躍、あっという間に上空へと到達する。)」
ゲラルト「(刀が空を斬るのと同時に、その軌道上にある“現象”そのものが断ち切られ消失し、足元を掬われることなく立っている。ほんの少しだけ周囲に甘い匂いと淡い光が立ち込めた。)お前、それ、ミラの話をした直後に言うことか?(上空へ跳躍したマベを目線だけで追い、利き手と反対の手の指先がその力を緩めてほんの少し刀の柄から離れた。)」
マベ「(上空で魔術を斬られた感触と地上に立つ不動のその姿を認識し、面白くなさそうに目を細めた。)………まだアレを使う程度ではねえか。(鋭い嗅覚がわずかな甘い匂いを捉えたが、今はそう呟くに留めた。身を翻し、ゲラルトへ向けて滑空してくる。)やっぱ気にしてンなあミラのこと!言ったろ、生半可な気持ちじゃねえって!あいつは俺の信念を理解して受け入れてくれた。だったら俺がそれを曲げるのは………!(そのまま攻撃に入るかと思いきや、中空で両腕を振るい、地面が抉れるほどの衝撃波を連続で放った。)あいつの覚悟に対して不誠実ってモンだろォォ!!?」
ゲラルト「(刀から離れていた指先が、またぐっと柄を握る。地響きのような重たい音がドンと鳴り、その場に滞留する魔力がまるで実体を持つかのように、その風も衝撃波も押し返そうと迫る。その中心に立つゲラルトの表情はあまりにも薄くその内にある感情は理解できそうにない。構えた刀が僅かに利き手側に倒れる。)」
マベ「(風が自分に届く前に、自らとその周囲のみに風を発生させる。一点突破の形でゲラルトの押し返した風とぶつかり、風同士が接触した瞬間ドォンという落雷のような音が空気を震わせた。飛散した衝撃波がコートを斬り裂き僅かに血が舞ったが、気にせず滑空を続け一本のナイフを握り、もう片方の手でその手首を握った。)……………ッ!!!(その刃にも風をまとわせて攻撃範囲と威力を上げ、眼前に迫ったゲラルト目掛けて重い一撃を打ち込もうと。)」
ゲラルト「(その刃が届く直前に利き手側に刀を引き、勢いをつける形でその重い一撃を真正面から受け止める。同時、周囲の魔力の動きに合わせコートの裾が浮き上がるように靡いたことから、地の腕力のみではなく魔力によるブーストをかけた様子が窺える。)…悪くない。(マベの持つナイフが鍔に引っかかった瞬間、向かってきた勢いを殺させないまま刀を右斜め下に流すように振り、バランスを崩すか武器を落とす形に持ち込もうと。自身はその動きに合わせて逆側に移動し少し距離をあける。)」
マベ「(手首を押さえる手がガタガタ震えるほどの力の強さ。魔力による底上げを示す魔力の流れに、歯噛みするような笑みを口の端に浮かべた。)……褒めんなよ……狂っちまう……。(振るわれた刀にナイフの刃先が捉えられ、勢いよくバランスを崩すが武器を持ったまま地面に手をつき、身体を翻して数度、後方転回。互いの武器が届かない距離まで逃れようと。)」
ゲラルト「(追撃がなく距離を取ろうとする動きを確認した上で、両足で踏み込み加速し一気に距離を詰めようと。右にふりきった刀を左側に入れ替える空気を切るような音がしたが、) (次にその音と気配がしたのはマベのいる場所よりももっと先。あまりに突飛な動きで、肉眼で見えない速さで抜けたのか、魔術を使って移動したかの判断さえ出来ない。)」
マベ「(はっとして構え直しかけたが、何かを思い出し探知の風と感覚を連動させ、その姿を捉えて向き直った。)……あン時は次にどこにお前が立ったのかすら、わかんなかったな。(先程の攻撃でナイフを握っていたほうの手首を振るった。口でナイフの峰の部分を咥え、何も持たない両手で地面に手をつきクラウチングスタートのような格好をした。)……よう。もっと本気出せよ。あン時のほうが、容赦なかったぜェ?」
ゲラルト「(移動した先ですぐに左に流した刃先を少しだけ振って振り返ると、ゲラルトが先程立っていた地点から今いる地点までを結んだその空間が、遅れてから切り裂かれる。物理的に切れたと言うよりは、その軌道上にあった魔力がやや遅れて刃となり炸裂した、という風。)」
マベ「ーーー!!!(空間の切り裂かれる音に駆け出した。駆け出したというより姿が消えたと見紛うほどの速度で、切り裂かれる空間よりも速くゲラルトの近くまで駆け抜け、地面を蹴って大きく跳躍した。)
(ゲラルトの眼前まで迫ったその姿がフッと消え、次の瞬間には背後の足元に片手をついた姿勢で現れて、両足で蹴るようにして足払いを試みる。成功の如何に関わらず手首のスナップをきかせて少し後ろに跳び下がり、咥えたナイフを手に持ち替え、もう一本をホルスターから引き抜いて再び突進する。長身の体躯から繰り出される踊るようなナイフと蹴りの連撃とともに、反撃を阻害しようと強い風が次々と生み出される。)」
ゲラルト「(その体を半分後ろへ向ける。足払いが片足を捉えるが、そちらの足から重心が外れていて、足を取られることなく膝をはね上げる武道のお手本のようなかわし方を見せる。その足を再度着地させると共に連撃を”受ける”のではなく押し返す程の質量で打ち返す。繰り出された蹴りを腕で受止め鈍い音がしたが、顔を顰めることすらせず、その衝撃を利用して肩から地を転がるように受け身を取り、距離を取る。その動作中にもこの場にある魔力が淡い光となって歪み、徐々に可視化されていく。)」
マベ「(弾き返されてしまいそうな質量に怯むことなく打ち続ける。重い音が、建物内で見守っている者達に届くだろうか。)……やっぱ日頃から重てえ武器使ってる奴ァ違うわ…!そうこなくっちゃなア!(呼吸している間もあるかわからないくらい激しい連撃の最中だというのに面白そうに笑った。淡い光となった魔力に照らされ、悪漢のような歪んだ笑顔に凄みが増す。)
(目を見開き、距離を取ったゲラルトに向けて何かを放った。空を切る音でしか判別できないが気化熱を利用したかまいたち現象であり、その空気の刃に触れればレーザー同様に身体が焼き切れる。)」
ゲラルト「当たり前だ、そこらの刀とは”重さ”が違う。(マベの起こした予備動作を捉えたが、真っ直ぐ迫る空を切る音への対処を一瞬迷い僅かに反応が遅れる。斜め前へ切り込むように飛び出し、その軌道上には鮮血が舞うが、甘く香る血液の匂いは想像よりもずっと穏やか。接近戦に持ち込むべく距離を詰めようと。)」
マベ「(その僅かな反応の遅れに目を見張った。ゲラルトが飛び出す直前、風に乗ってステップを踏むようにして跳び上がり、上空で制止。手の甲で口元を覆いながら、その甘い匂いを嗅いだ。)…………おい。なんだこれは?いつもより随分とうっすいじゃねェか。
(冷静な声色だが、どこか怒りを含んでいる。中空に浮くマベの暗い色のコートが少しずつ強くはためき始め、上空が薄暗くなっていく。黒い雲が立ち込め、雷の鳴る音が少しずつ大きくなっていく。)」
ゲラルト「……、(この場にいる人間のうち、”特に耳のいい”人にだけ聞こえるレベルで舌打ちをした。左手に携えた刀を下げて)……あのな、制御が効かなくなったとは言ったが、お前の言葉を借りて言えば “反吐が出るほどの鍛錬を重ねて” 私はこの力を抑え込む術を身に付けたわけだ。 (上空を見上げると、ゲラルトの左頬が切れて血がつたう。それを雑に右手の親指で拭って捨てると、大きく息を吸って吐いた。)」
マベ「(その舌打ちをしっかりと捉え、カッと目を見開き身体を震わせて笑い出した。)…っははははははあァ!!そうかよそうかよ、俺と同じだなァ!?それ聞いて安心、(俯き、急にピタリと動きを止めて。)………するワケねェだろ?…なに抑え込んでんだ…。本気出せよゲラルト…。(顔を上げた。光のない瞳に怒りを露わにし、ち、と今度はこちらが舌打ちする番。その背後でカッ!と稲光が生じ、地表から上空の黒雲に向けて何本もの黒い竜巻がその形を成し始めた。バチバチ、と音を立ててマベの両の拳から緑の光がスパークを放つ。)」
ゲラルト「本気、か。その必要があればいつでも出す気だ。(また風が吹くわけでもないのにコートの裾がふわりと浮き上がった。)私がお前にその必要性を感じればな。(マベのいる方へ向かって刀を下から振り上げ、右手を添えて左に振り抜く。周囲に集まった淡い色を纏った魔力が、その軌道に乗って十字に空間を真っ直ぐ切り裂く。軌道上にあった魔力反応のある事象も同時に切り裂かれていき、人の身は簡単に八つ裂きにしてしまうほどの威力。)」
マベ「………。(何も言わなくなった。こちら目掛けて放たれた魔力が魔力反応を切り裂き進むのを認識すると、その手に緑雷を纏わせて空を蹴り、すんでのところで躱す。風で靡く髪が斬られたが頓着せず、乱気流に乗って空を自在に駆け巡り黒い竜巻の中へ姿を消した。)……そうかい。じゃ、俺も、(声と共にゲラルトのすぐ近くに発生した竜巻の中から飛び出し、目にも止まらぬ速さで雷撃を纏った双刃を振りかざした。)…まだ全力は出さなくてよさそうだなアァァッ!!(もし刃がかち合えば、バチバチと音を鳴らす稲妻が刃を通じて全身に伝わるほど、単純な攻撃力だけではなくその速さも攻撃範囲も格段に上がっている。)」
ゲラルト「(声のした方に先に目線が動き、それから思い切り刀を振り抜いて双刃を弾き返す。僅かながら出血しているため先程よりその重さは少し増しているものの、ほんの僅か眉をしかめた。間髪入れず片足を大きく踏み込むと同時に刀を足元から斜め上に振り上げるようにして、)……さあな。少なくとも、お前の思い通りにさせる気は無い。(ギチ、と空間が限界を超えて軋むような音。)」
マベ「(弾き返された勢いのまま振り上げられた刀を身体を反らして避けるが、胸元を切り裂かれシャツから覗いた肌にうっすらと血が滲んだ。片目を細めにやりと笑う。)………あははッ!(空間の軋むような音に注意をしつつバックステップで距離を取ると再び竜巻の中へ姿を消し、不規則に現れる竜巻の中から飛び出しては同じように攻撃を仕掛けた。)………、……。(電撃をまとった刃と体術とを織り交ぜながら、何か鼻歌のようなものを歌っている。どこか懐かしさを感じさせるが、途切れ途切れのため不明瞭で。)……あァ。よく思い出せねェな……」
ゲラルト「(ふといつかの光景が頭をよぎり、”その時”と同じように確実にその攻撃を受け止めていくが、聞こえてきた鼻歌にはっと目を見開いた瞬間、その刃先が腕を捉えて血液が飛び、風に乗って巻き上がる。)お前、それ………………、(言いかけてやめた。急に刀から右手を離し上にかざすと、)……お前の評価を誤っていたようだ。”それ”に触れた者同士、最大の敬意をもって…………(言葉も動作も止めて黙りこんだ。)」
マベ「気付いたか?そうだ、あの時と同じやり方だ。あン時に比べりゃ互いに成長したな。(手応えを感じ、同時にその異変を感じ取って急いで飛び下がった。そして静かにその場に佇む。)………いいやゲラルト。俺にはまだ、”あれ”はよくわからねえ話し声程度にしか聞こえねえよ。…この歌はな。あの日ミラが口ずさんでたんだ。愛しい人を想う歌としてな。(見えない両目が真っ直ぐにゲラルトを見つめた。嵐と雷鳴を背に、双刃を目の前で十字に構えた。)………来いよ。ゲラルト。」
ゲラルト「(血液が舞ったにしては少ない魔力反応だが、ゲラルトの開いた眼に確かに狂気が揺らめく。)……いや、違う。その歌は……。……。……自身の破滅を、―――死を願う歌だ。(かざした手を引き寄せ皮の手袋がギュッと擦れ合うほど固く握りしめると、その動作に合わせて地鳴りのような音とともに、この場に滞留している魔力が上空から、ここにある何もかもを喰らい押しつぶすような質量で落ちてくる。建物の窓ガラスが一斉に割れる音がしたが、その破片すら飛び散らず全て粉々になって地に落ち、並の魔術師なら自身の術の発動が困難になるほど周辺の魔力濃度が一気に弱まる。)」
マベ「なに………!?(その言葉に驚愕し構えを解いた次の瞬間、嵐を押し潰すほどの巨大な質量に襲われた。建物のガラスの割れる音にそちらを振り向き、超自然的な現象に呆然と立ち尽くす。)…………。…………。(ふと嵐が収まっていることに気付き、ハッとしてゲラルトを見た。)………俺は………、(一瞬俯いたが、手の中のナイフをぐっと握り締め、向き直る。)……そんなこと”どうだっていい”。お前の最大の敬意に応えるまでだ。俺の、ーーー全身全霊を持ってな。」
ゲラルト「(一歩、二歩と静かに前に出て)お前は、……お前は……、(地を蹴って急加速。見えていたとしても、見えていなかったとしても、どちらにしろ正確に捉えるのが難しい程の速度で一瞬にして間を詰め、) 二度とそんなモノをあいつに歌わせるな!!(あまりに正確に僅かなブレもない太刀筋は刃は空を斬る音すらせず、無音で刀が振り下ろされる。)」
マベ「(ざくっ、と肉の断ち切れるイヤな音がした。)………………。(片手のナイフでゲラルトの刀を受け止めているが、全ては防ぎきれず肩口に深々と突き刺さっている。ぽた、と一滴を皮切りに鮮血が次々と刃を伝い、地面へと落ちていく。)……………二度と歌わせねえよ。………それでもあいつは、…………こんなクソみてえな大バカ野郎を受け入れてくれたからなあああああああああああああッ!!!!!(深々と突き刺さった刀を引き抜かれないようにその手で握り締め、もう片方のナイフを握った手を素早く翻し、ゲラルトの首筋目掛けて振りかざした。切っ先からバチッ!と緑の閃光が迸り、その刃の攻撃範囲が刃先以上であることを示している。)」
ゲラルト「(マベのナイフが振るわれるのを上体を斜め後ろに引いて避けようとするが、刃先がざくりとその首筋を切り裂き、)……そうか、お前は、並大抵の魔術師ではなかったな!?(目を開けていられない程の強い光が発せられ、その場の魔力を全て喰らいつくした上で甘い香りを纏わせたゲラルトの魔術が発動。やや遅れてとてつもない衝撃と耳をつんざくような爆音が訓練場全体を包む。そのあまりの音や光、反応の大きさに、ゲラルトの存在が全く捉えられない。)」
マベ「(目の見えないマベの探知の風と、長年の訓練によって研ぎ澄まされた感覚が、強烈な光の後にくる”それ”を感じ取った。)ーーーーーーーッ!!!!(本能的に片手を天へ掲げた。超巨大な暴風の壁が幾重にも形成され、建物まで被害が及ばぬよう訓練場全体を包み込んだ。とてつもない衝撃と耳をつんざく爆音が暴風を貫通していくが、貫通されてもなお張り巡らされる”護りの風”が、次第にゲラルトの魔術を和らげ、被害を最小限に押し留めていく。)…………ッ、ゲラ、ル、ト………ッ………ゲラルトォォッ!!!(マベは暴風の中心で自身に風の防御を張り巡らせているが、他への被害を食い止めるために魔力を注いでいるため不完全なものとなり、衝撃に身を晒しながら全身に傷を負っている。それでも手を伸ばし、その名を叫んだ。)」
ゲラルト「……あ?お前、どこに向かって手ぇ伸ばしてるんだ?(次に声がしたのは後ろ、の上空。自ら発した光からその薄い蒼の目を守るために覆っていた手を外し、刀に両手を添えて振りかぶり、落下の勢いとともに切りつけようとする)」
「はーーーーーーい。ふたりとも、そこまでーーーーー!!!こんなところで命張らない!!!!!(突如、誰も割って入れない空気感の中、聞きなれた声がした。)」
マベ「ーーー!?(立っているのもやっとの状態だが、感覚器官はそれでも鋭敏なまま。仰け反るように振り返り、残った片手のナイフでその攻撃を受け止めようとするが……)…………は…………?(聞き慣れた声に、半開きの口から声が漏れた。)」
ゲラルト「………………!?(はっと冷静になり、振りかぶった刀を振り下ろすのをやめて着地した…が、何となく気が収まらず柄の一番後ろでマベの体を小突いて。)」
マベ「づッ………(その小突いた程度にすら耐え切れず、その場に仰向けにぶっ倒れた。)」
(コツ、コツ、と細いヒールが地面を打つ音がして、見覚えのあるような無いような、隊服…らしきものを着た、ピンクの長い髪を揺らした女性が歩いてくる。)
(周囲で見ていた隊員たちが、「あれ誰だ?」「さあ……」「あんな可愛い子いたっけ?」「よく割って入れるよな……」などと口々に話すのが聞こえる。)
ミラ「アンタたち、馬鹿? そんな歳にもなって加減ってモノを知らないわけ? これじゃあまた5年前みたいになるだけでしょ?!(姿はともかく、その声からその人だと言うことが2人にだけは理解出来る…)」
マベ「(満身創痍で首だけもたげて。)………ミラ………お前、……ンだよその格好は………」
ゲラルト「お前、いつからここに……。いや、いい。それはともかく……、男には男の意地と言うものがあってな、その、勝敗がつかなければ気が済まないことも、たまには…… 、なぁ?(今の今までやり合っていたマベに、つい同意を求めた。)」
ミラ「え?これ? 可愛いでしょ♡ テーラーに無理言って作らせちゃった♡ アンタらが全然連絡よこさないから私から来てあげたの。なんか文句ある?」
マベ「ああそうだな、それには俺も同意する。ただな?…………この”くそゲラルト”が。感情的になりやがって、どこのどいつだ5年前に人のこと冷静さに欠けるだのと罵りやがったのは!?本部ぶっ飛ばすつもりかよ!?それが隊長のやることかよ!?あぁ!?」
ミラ「…………。(また食ってかかろうとするマベの様子に溜息をつき。)……ん。わかった。じゃあ勝敗をつけたらいいんだね。…………。 はいっ、ジャーーーンケーーーンッ!!!!! ぽん☆☆☆(超元気のいい掛け声!!!!)」
ゲラルト「……は!?お前、勝敗って……何でもいいわけじゃないんだぞ!?(と言いつつその掛け声につい合わせて出したのは、パー。)」
マベ「え?え?な、お、ちょっ、おい!!!(ナイフ持った手で、グー。)」
ミラ「(言いながら一緒に出した、パーの手。)はいっ、マベさんの負け♡ あっはは、ほら、どうでもよくなってきたでしょ?」
(周りで見ていた隊員たちが「あ、何だ…隊員だったわ…」「にしてもツートップ相手にすごいもの言いだな…」などと話しているのが聞こえる……かも。)
マベ「……いや……強引すぎだ……。………。(はあ……と溜め息を吐いた。いつの間にか黒眼鏡が吹き飛んだ傷だらけの顔をミラへ向けた。)………ミラ。……ごめんな。」
ミラ「……。(急に困った顔になって) ……あのさ。こんなのされても私、嬉しくないから。2人にはさぁ、できれば怪我して欲しくないし、大事な時間を少しでも笑って過ごしてほしいなーって思うんだよ。 はい、だから、なっかなーおり! 今すぐ。私気が短いから。」
ゲラルト「……。そう、だな。(マベに手を差し出して)……悪かったな。立てるか?」
マベ「………。(ゲラルトのほうを見た。)……俺のほうこそ、悪かった…。………おう。(その手に少し戸惑ったが、意を決して自分の手を乗せがしっと握った。力の入らない身体をなんとか起こした。)………俺の負けだな。」
ゲラルト「お前たちがいつの間にかそういう仲になっていたと聞いて、つい動揺してしまった。……私らしくない、隊長として相応しくない振る舞いだった。(ふと視線を落として、) ……いや。…5年の間に、随分強くなったな。」
マベ「当然だ…お前にとってもミラは、大切な存在なんだからよ…。……俺はこんなんだし(ちょっと拗ねたような顔をしたが、次の言葉に目を見開いた。)…………本当か?」
ゲラルト「……反吐が出るほどの鍛錬を積み重ねてきたんだろう? ただ、自惚れるな。まだまだ……あと3年はかかると思え。(掴んだ手をゆっくりと引っ張り上げ、肩をかそうとする。)」
ミラ「あ、その話、言ったんだ……? まあねー、動揺するよね。気付いて即日告白の即日ヤることヤっちゃうって、すごいスピード感だもんねぇ。 私は用事があって来んだけど、その怪我じゃ治療が先だよねぇ。隊長室で待っといていい?」
マベ「(肩を貸してもらってなんとか立ち上がった。)わかってるよ…。こんなことで魔力切れ起こしてたら隊長なんてつとまら…、……え!?…さんっ…!?(驚き、見えない目で何度も瞬きした。)…………。…………やっぱあんたにゃ、(敵わない、と言いかけてやめた。ふ、と小さく笑い)……了解した。隊長。」
ゲラルト「ミラ、今なんつった…………? おい。マべ。もう一度聞くが、私があの街を更地にしに行った日、どこで何をしてた。なぁ?どこで、何を、してた?(2回同じことを聞いた…)」
マベ「(目を閉じ口の端を歪ませた。)……ミラお前……ホントは怒ってンだろ…??(2回聞かれてにっちもさっちも行かなくなった…)〜〜〜〜〜〜ッ………!………家で、ミラと……、………ヤってました………。(…………。)」
ミラ「へ?怒ってないけど……、あれ?私なんか余計なこと言ったっぽいな……。ごめん☆」
ゲラルト「………………。私との仕事を断って、か。……。お前さっき魔力切れとか言ってたな。あーそうか、 こ れ で も 食 え。(左手の手袋を口で咥えて手から引き抜き、首の傷の出血を親指で拭って、それを強引にマベの口に突っ込もうと。)」
マベ「だからそれは謝っただろ!?お前ももっと用件をハッキリ言えよ!!…へっ?(もごっ!!)んうううッ!!??んーーーッ!!んううううう!!!(指を突っ込まれ、力の入らない手足をバタつかせる。多分最後「くそゲラルト」って言ってる(……。))」
ゲラルト「その元気があれば大丈夫だろうが、とりあえず病院は行ってこい。そのあとのことは自分で何とかしろ。(確かに怒りの乗った声色で、マベを無理矢理に転移魔術で病院へ送ろうとする。)」
マベ「(ぷはっ…!)……おいテメエ、何勝手にミラと二人きりになろうとしてンだ!?いいじゃねえかちゃんと告白して同意の上でなんだからよ!?それとも何か!?飼い犬がご主人様ほったらかして女とイチャついてるのが許せねえってか!?この嫉(シュッ…と綺麗に転移していった…。)」
ミラ「あー……。 なんか、驚かせちゃったね。………何か、色々あって、気付いたら好きになっちゃってた。……、ごめんね。」
ゲラルト「謝るな。謝るようなことではない。ただ………………、(色々考えて、言葉がなかなか続かない。)…………アイツで良かった。それは本心だ。 行くぞ、用があるんだろ (先に歩いて行ってしまう。)」
ミラ「あ、ちょっと待ってよ、めちゃくちゃ血出てるけど大丈夫なの!? そんなに急ぎじゃ無いのに……。(そのあとを追いかけて早足で歩いていった。)」